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呼吸

 訳もなく突然、立ち上がり外に飛び出したくなる。本当は少し前からその衝動に気づいていた。それに従ってみる。冷たい空気が頬を撫でて、気持ちよくて涙が出そうになる。ぐんぐん、ぐんぐん歩く。駆け出したいような気持ちがするけれど、恥ずかしくて、それは我慢する。

木や土と同じく、生物の私は、まだ見えない春の律動を感じている。